2012-04-23

はい、そうです。それは私の全財産です。

だから、救ってやらないと僕が救われないのです。……


 ○月○日。
 突然、Macの内蔵HDD(ハードディスクドライブ)が壊れた。
 起動ディスクとして使っていたので、起動すらできない状況だ。

 まいった。……まじでまいった。まいっちんぐだ。

 インストールディスクで起動して、ディスクユーティリティでチェック……しようとしたら、認識しない。どこにも表示されない。外付けのHDDですら認識されるのに、イチバン大切なディスクだけが認識されない。おおい、何処へ行った? 元気ですかー? あれ? 死んじゃった? 死んだ? 死んだの? それにしたって……
 その壊れたHDDはこの世に無いものとされている。物体はあるのに消された存在。闇に包まれた謎。CIAもビツクリだ。ここにあるのに、確かにここに居るのに誰にも気付いてもらえないHDD、まるで僕のようじゃないか。泣けてくる(最近、泣けることが多いのは、季節のせい? それとも、ああ、年のせい?)。

 いやあ、ほんとうに困るよ。
 何が困るって、その中には僕の財産の全てが入っているのだからね。コンピュータ本体やHDDそのものが壊れるのは構わないのだけれど(いや、それでも嫌だけどね)、中のデータは命なのだよ。僕の命。僕を語れる唯一のもの。ジジイになっても、僕が死んでも生き残る可能性を持った、唯一。生命そのもの。そりゃあ困ってしまうよ。そりゃあ泣けてくるよ。……

 え、そんなに大事だったらちゃんとバックアップしておけ?

 言ったな? 言いやがったな?
 うるせえ、その通りだ、コンチクショウ!!!(涙)。

 次から気を付けます。
 これからはちゃんといい子にします。
 ちゃんとバックアップします。
 もう複製しまくります。
 いっしょうけんめい働きます。
 本も読みます。
 新しい文章を発明します。
 手作り=アートと言っている人たちを馬鹿にしません。
 つーか、アートって言葉、安くなったよね。
 たまには出かけるようにします。
 ちゃんとカメラを持って出かけます。
 好奇心と達成する力と、やさしさ。
 男は優しければ、それだけでいいと思う。
 犬のように優しければいい。
 それ以外は要らない。
 そこから全ては生まれるからだ。
 愛? それもそこから。
 愛します。
 愛します。
 いっしょうけんめいに愛します。
 毎日お風呂に入ります。
 白髪が増えても文句を言いません。
 腱鞘炎は笑顔で乗り切ります。
 できる限り背筋を伸ばして歩きます。
 歯も磨きます。
 買い食いだって控えます。
 自分に嘘は吐かないこと。
 それで敵が増えたっていいじゃねえか。
 理解者を全力で守ること。
 押しつけぬこと。
 とにかく信じること。
 待つこと。
 あとは、
 あとは、……
 とにかく直向きに生きてゆきます!

 だから、僕のデータを救って下さいそこのエロい人   

 ああ、かーみーさーまーっ!





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2012-04-20

驚かせないでおくれよ。ビビるよ、まじで。

 いやあ、まったく驚いてしまったよ。
 オジサン、久し振りに驚いてしまいました。
 今さ、愛車の《アポロン》の点検をしてもらってて代車生活をしているのだけれどさ、いやあ、まったく驚いてしまったよ。何が驚いたって、

 車が止まったら、エンジンも止まる。

 まーじーかーよー。ナニソレ?
 エンストしたかと思った——あ、エンストか。エンスト? そうなんだけれど……困るよね。思わず誰かに見られていないかキョロキョロしちゃうよ。ああ、ドキドキする。
 ホンダの何とかって車なんだけれど、いろいろと運転が難しい。どうやってコントロールしても思った通りに走ってくれない。最近の車って、みんなそんな感じなの? みんなはちゃんと乗りこなしてるの? 運動神経の数本足りていない僕が悪いの? 悪いのは僕なの? 僕が悪者? なんだって! そりゃあ確かに僕は世の中の流れにはついて行かれないような奴だよ。駄目な奴。性格もよじれてる(買い食いの癖も直らない!)。でもね、それで悪いなんて言われちゃ、いくら温厚な僕でも黙っちゃいないぜ。今すぐに謝ってくれ! さあ、この場で、今すぐに、謝ってくれ給え!

 とか、取り乱しちゃうくらい、運転が難しい。

 壊れてるのかなあ(←お前だよ!)。
 なんというか、ええと、……ガタガタ動く感じ?

 ああ、あとさ、ハンドルにいっぱいスイッチが付いてるのが驚異。ビビるよね。くらくらする。さあ押してくれ、さあ押してくれって、押してくる。お前が押すなよ。怖い。
 ハンドルを見るのが怖いから、ハンドルに隠れたスピードメーターを首を伸ばして無理矢理に見ると、数字で丁寧に教えてくれる。これも危ない。いちいち読んじゃう。針のメーターの有り難さが身にしみる。あと何だかよく判らない、なんだろう、エコの状況を表示するみたいなメーター? もうビクビク怯えながらペダルを踏みます。怖いです。ほんとうに怖い。
 そうしてがくんがくん酔いそうになりながら運転して、ようやく目的地。これで解放される——と思ったのもつかの間、エンジンを切ったときには、アクセルとブレーキのコントロール具合を叱られたりする。その段になると、もう泣けてくる。「もっとエコな運転を心がけましょうね」みたいに、幼い子供を諭すような口調でオッサンの僕に言ってくる。そんなスッカリ冷えてしまった温かい言葉は世間の形式主義を思い出させて、いっそう泣けてくる。はいはーい、こうやって作っておけば、ま、文句は言われないでしょ?——という褒められなくてもいいから、とにかく怒られないように生きてゆこうよ、ね、という徹底した姿勢。それは機械や道具に愛情を持つことに対する嘲笑のようにも思われる。

 オマエバカジャネエノ、コンナテツクズニ、アイジョウダッテ?

 僕は苦しくなって車を降りる。……

 畜生、エコって何だよ。エコって何だ?
 とにかくね、僕は疲れた。
 今日の夕方、僕に優しい未来の鉄くず《アポロン》を迎えに行きます。
 もう、涙が出そうだよ。



 
 

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2012-04-19

撃ち殺される。

 それは夢の中だったけれども。
 僕はライフルで撃ち殺された。黒い服を着た男に。
 僕は死んだ。
 僕は死んでしまった。

 僕が夢の中で死ぬときは、決まって銃弾に頭を貫かれる。ケネディのように。
 自殺をしたときもピストルだ。
 怖くはない。でも、目が覚めるまでは、ずっと悲しい。死んでしまってからも、悲しくて、悲しくて、涙がどんどん溢れてくる。この世の中に未練は無いし、子供の頃からずっと大嫌いだけれど、そんな世の中に存在する様々のものを、僕は愛している。だからとても悲しくて、涙が溢れる。

 ああ、生まれ変わったのだね。
 僕は何度も死んで、何度も生まれる。
 僕は大人になって、子供になる。

 …………

 そうそう、夏目漱石を読み始めました。
 似ていると言われることがあるので、「おいおい、吾輩は猫でもないし、坊っちゃんでもないよ」と思いながら、どうだろう、三十年ぶり? 読み始めました。

 友達がひとり増えちゃった。

 いやあ、こんなの小学生に読ませても意味が解らないよねえ? まだまだ大人や彼らの世界に夢を抱いているうちは。彼らからハッキリとした裏切り行為を受けるまでは。……
 いやいや、大人はもっと頑張れよ!
 ほんとうの大人はね、無敵じゃなきゃ駄目なんだよ!
 僕に何年も子供をさせるなよ!(もうオッサンだぜ!)。


 我、只今、再生中。




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